東邦銀行(福島市)系列のシンクタンク、とうほう地域総合研究所は6月26日、福島県の会津地方を中心とした観光動向調査「(NHK大河ドラマ)『八重の桜』で盛り上がる会津若松市の観光動向について」を公表した。鶴ケ城天守閣、大河ドラマ館、会津武家屋敷といった関連する観光施設はドラマ効果が表れる一方、今後ドラマの舞台が京都に移るため、秋以降の誘客活動が重要になると指摘している。また、同市への教育旅行も回復傾向がみられることが裏付けられた。
調査結果によると、鶴ケ城天守閣の4、5月の入場者数は計22万2千人で、5年前の1.5倍。大河ドラマ館は4月からゴールデンウイークにかけて来館者が増加し、5月31日現在で計22万8千人、1日平均約1600人。さらに会津武家屋敷も、ドラマで西郷頼母が重要な役どころとして注目されたことから、3月から5月にかけて、近年で最も多い入場者数を記録するなど、大河ドラマ効果が顕著に表れた。
今後については、鶴ケ城が2015年、天守閣再建から50周年を迎えることから、同年のJRデスティネーションキャンペーンとの相乗効果で多くの観光客が期待できるとみている。
同市への県外からの教育旅行については、震災前の2010年に841校だったのが、翌年は100校に激減した。昨年は210校まで回復した。市などは今年、400校程度の回復を目指したが、現段階での予約は300校前後。同総研では、関係者が学校を訪問して説明会を開催するなど、不安払しょくに努めることで、さらなる上積みが期待されるとしている。
このほかの観光スポットのうち、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)は現在、入場者の7割強を占めていた首都圏のファミリー客の戻りが震災前の8割程度にとどまっており、震災前の水準に戻すとともに、新規客のリピート率を高める方策の実行が課題としている。